弁護士 倉田 壮介
令和2年5月1日から、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により前年同月比で売上が50%以上落ちた中小法人と個人事業者に対して、法人200万円、個人事業者100万円までの給付金を支給する内容の持続化給付金の申請受付が始まりました。
持続化給付金の目的は、新型コロナウイルス感染症の影響等により極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するところにあります。このため幅広い業種において申請が可能となっており、支給対象には、新型コロナウイルス感染症の影響等により、前年同月と比べ50%売り上げが落ちた中小企業の他、医療法人、農業法人、NPO法人などの会社以外の法人、さらにはフリーランスを含む個人事業者が含まれています。
以下では主に会社等の法人を念頭に制度の概要について解説します。なお、政府による資金繰り支援、給付金、助成等に関しては、次々に新たな支援策が打ち出され、従前の制度が改められている状況にあります。本コラムはあくまで執筆日(令和2年5月22日)時点での制度を念頭に、制度概要をわかりやすく説明することを目的としています。最新の情報については、政府機関において公表・更新される情報をご参照下さい(持続化給付金については、経済産業省持続化給付金の解説ページが詳細ですのでこちらをご確認下さい)。
まず、給付対象者の規模に関する要件として、2020年4月1日時点において資本金の総額または出資の総額が10億円未満であること等が定められており、一定規模以下の者であることが前提とされています。そして2019年以前から事業により事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があることが必要となっています。
その上で、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月があることが必要となります。この月を対象月と言いますが、対象月は2020年1月から12月までの間で、申請者が自由に選択することができます。
なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する性風俗関連特集営業、当該営業に係る接客業務受託営業を行う事業者、政治団体、宗教上の組織若しくは団体等は給付対象外とされています。
給付額は、次の算定式で計算するものとされています。
以下では具体的な例をもって支給額はいくらになるか見ていきたいと思います。
持続化給付金申請要領(申請のガイダンス)中小法人等向けをもとに作成
申請しようと考えている会社が上記のような年間事業収入をあげているとします。2020年1月から2020年12月までの期間について、前年同月比で売り上げが50%下がった会社が対象なので、上記の会社の場合は、50%以上売り上げが落ちている4月をピックアップして申請したらよいことになります。それではこの場合支給額はいくらになるでしょうか。
支給額の計算方法は上記のとおり「対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入-対象月の月間事業収入×12」です。
これを本件に当てはめると、300万円―(13万円×12)=144万円となります。
給付上限金額は法人の場合200万円ですので、この会社は144万円が支給されることになります。
申請するにあたり、必要な書類は以下の通りです。
(1) 確定申告書類-確定申告書別表一の控え及び法人事業概況説明書の控え
(2) 2020年の対象月の売上台帳等
(3) 振込先口座の通帳の写し―銀行名・支店番号・支店名・口座番号・名義人がわかるもの
(4) その他持続化給付金事務局が必要と認める書類
フリーランスを含めた個人事業者の場合は、
(1) 確定申告書類関係
ア 確定申告書類(青色申告)-確定申告書第一表及び所得税青色申告決算書の控え
イ 確定申告書類(白色申告)-確定申告書第一表の控え
(2) 2020年の対象月の売上台帳等
(3) 振込先口座の通帳の写し
(4) 本人確認書類の写し
(5) その他持続化給付金事務局が必要と認める書類
が必要です。((1)についてはどちらかで構いません。)
実際の申請は持続化給付金ホームページへアクセスし申請します。
申請期間は令和2年5月1日から令和3年1月15日までとなっています。